現状では嗅覚に限らず原始感覚のメカニズムの解明は残念ながら遅れていますが、大切な決め手はわかってきています。嗅覚以外のほかの4感が、受け皿から「視床」を通って大脳新皮質系の感覚域に受容されるのに対して、嗅覚だけが鼻から大脳辺縁系の「扁桃核」を経たあと、直接に前頭葉のソフトウエアの下部に到達します。ソフトウエアは人間としての行動を指令するところでもあり、「ボケる」のはここが真っ先にやられて起こるようです。匂いに強いということは、臭覚刺激がこの部分を刺激しやすくなっているものと思われます。米国で、アルツハイマー病のスクリーニングに嗅覚テストを活用している理由といえるでしょう。
2本足で直立したため、鼻面が地面から遠ざかった人間ですが、嗅覚が織りなすドラマは多彩です。古代人は地面を嗅いで、そこを人が通ったかどうかを嗅ぎ分けていましたし、現代では人工的なフェロモンである‘香水‘に引き寄せられてワナにかかるといったドラマは多々あるとか フェロモンといい、匂いといい、その情報源は動物脳(大脳辺縁系)。それが私たちの巨大な人間脳(大脳新皮質系)の縁の下の力持ちなのですから、匂いがよく嗅げるということは脳の活性度が高い、ということになりますね。


