笑いと脳機能の関係を研究されている脳神経外科の先生にお会いする機会がありました。
先生のお話では、脳卒中慢性期の患者さんに落語を聴かせると脳に流れる血液量が多くなり、血糖値も改善するそうです。また、笑いは脳を活性化し、記憶や感情を豊かにするので、「認知症」の予防にも役立つとおっしゃっていました。
大脳皮質(大脳灰白質)は、神経細胞がたくさんに集まっているところで、神経線維によって作られた情報ネットワーク(白質)に電気信号を流して、考えたり、体に命令を出しています。ところで、認知症は大きく分けて<アルツハイマー型認知症>と<脳血管障害型認知症>に分けられます。 <アルツハイマー型認知症>は、神経細胞の中にアミロイド蛋白と呼ばれるゴミが溜まって神経細胞が破壊されて起こります。<アルツハイマー型認知症>では、芸術療法や作業療法などで心地よい刺激を脳に与えてやると、症状が落ち着いたり、不安な気持ちが鎮まることがわかっています。 一方<脳血管障害型認知症>は、神経細胞が壊れているので、神経細胞同士のネットワークが破壊され、統制のとれた考えや行動がとれなくなっています。この<脳血管障害型認知症>は、脳神経細胞やそれが束になった‘軸索’のすみずみまで上手に血液が運べない(虚血)ためにおこる病気と言われています。
それならば、認知症を予防するには脳細胞の活動に必要な血液を十分に脳に送ってやればよいと考えられます。そのためには先ず、脳の動脈硬化が進まないようにしてやることが大切! 脳卒中慢性期の患者さん40人に落語を聞かせたところ、聞くことによって全体で8.4%の血流量増加が観られました。中には血流が低下した人も12人いたので、理由を聞いてみると、「疲れた」「早く部屋に戻りたかった」と答えたそうです。面白く感じないと血流量は減ってしまうようです。同時に測った脳波でも、血流が増えた人ではリラックスしているときに現れるα波が多く観られ、また、血糖値も下がっていました。一方、血流が減った人では緊張しているときに現れるβ波が観られるか、あるいはα波の療法が減っていて、血糖値は変わりませんでした。 このことから、脳内の血液量を減らさないようにすれば、認知症は予防できることが判ります。 同様の働きは、イチョウ葉エキスに含まれる「ギンコライド」にもあることが知られています。'物忘れ’が気になる頃になったら、イチョウ葉エキスを飲んで、落語を聞くか、あるいはこころが休まる静かな曲で体を癒してみてください。


